大阪は大雪らしい。 (2008.2. 9)
今日明日と母が一人だというので、我が家で夕食を食べ、買い物に連れて行き、なんと1足が300円のふかふかスリッパを購入し、 「母べえ」という映画にも連れて行く。主役のY・Sが友人の言うように、他の出演映画と同じ演技ではあったが、 監督が出来るだけ現実を忠実に描写し、昭和16年前後を劇的でなく史実のままに描いていた為に、Y・ Sのそういうところも余り気にならなかった。特に周辺の役者が好演している。
丁度私が生まれる直前までが色濃く描かれていて、その当時の住居や暮らし方は、その当時の日本の当たり前の様子で、 妙に懐かしかった。母も同じ思いで見ていたらしいことが後から分かったが、母の方がその思いは強烈だったようだ。 すっかり若かりし自分たちの当時の暮らしが被さっていたらしい。
帰る道々その当時のエピソードを話してくれる。但し、この話しを聞くのは一度や二度ではない。今までに一体何回聞かされたことか!、 、、でも、今日映画の後で聞くといつもと違ってとても新鮮に聞こえたのも不思議なことだ。
台湾で新婚生活を過ごしていた母の身に突然降りかかった災難は、美容院にパーマをかけに出かけていた留守の間に、 プロの泥棒に入られたことだという。シーツを引っ張り出して、それに着物から下着までごっそり包んで持ち去られていたらしい。 しばらく経ってその泥棒は検挙されたが、殆どの品物は返らず売却された後だったという。しかし、 ホントの災難はそれから数ヶ月後にやって来た!
ある日、道路を隔てただけのお向かいさんのお宅Sさん宅にちょっと出かけて井戸端会議。思いがけず時間が経って、 帰ってみると下駄箱の上に大きな靴の足跡が!「えっ!?」と思ってその前の泥棒事件以来決めてあった貴重品入れの場所に走っていくと、 案の定そこにあるはずの風呂敷包みが無い!真っ青になってSさん宅に駆け込んで二人してもう一度家の中を見てみると、 タンスは引き出しが開いているし、色んな物が雑然と散らかっていて、明らかに泥棒の仕業と見えた。、、、ここからがケッサクだが、 なんとそのSさん、友情に厚い人らしく、手持ちのお金を全部持ってきて、「これで旦那さんの手前を取り繕いなさい」と言ったらしい。 母はSさんに言われるまま、なくなくそのお金を預かってお礼を言い見送って、さてどうしたものかと思案していたら、 いきなり便所の戸がギギギ~と音を立てた。ギョッとしてまだ泥棒が家にいたんだと再び真っ青になったところへ現れたのは、 貴重品入れの風呂敷包みを抱えた父だったという!
要するに、父はドロボー事件を経験しながら、又玄関の戸締まりをせずに外に出ている母を懲らしめるために、 軽い気持ちでやったらしい。ところが、トイレでしゃがんでいると、お向かいのSさんの声がするしで、出るタイミングを失したらしい。 それから60年も経った今でも母が覚えている訳だから、父のお仕置きはしっかりと功を奏したということだ。その話を、 つい昨日のことのように面白く話す母の声が、殊の外華やいで聞こえたのは、これも今日の映画のせいだろう。
母にとっては、青春時代のお話だ。
大阪の友人から写真がメールで送られてきて、「美しいやろ~?大阪は大雪やで~。」というコメントが付いていたが、 その写真たるやただただ真っ白で、な~んにも形が見えないという代物。相変わらずおもろい友人だ。








